サポートセンターの相談員として園訪問し、年少さんの様子を拝見させていただいた際の出来事です。
ちょうど折り紙あそびの時間です。担任の先生を手本にしながら、それぞれグループ毎に一生懸命に折っていました。私も、子どもたちと一緒に、あるグループの席に着きました。
私の左側、真横には、Hちゃんという女の子が座っています。Hちゃんは、頑張って折り紙を折り終えたばかりで、ホッと一息ついたところだったのでしょう。突然、「なんでハートがついとるん?」と私の方を向いて聞いてきました。可愛らしいHちゃんの指は、私のメガネの柄のすぐ下、左頬を指しています。「あれ、左頬に何かつけていたっけ?」「シミかホクロぐらいだけどなぁ。」内心、答えに困った私は「なんでかなあ」と一言。続いての「いいなあ」と言うHちゃんの一言に、咄嗟に「ありがとう」と返事をしました。
なんだかちぐはぐな会話となりました。
帰宅後、鏡で自分の左頬を見ると、やはりシミがありました。まずまずの大きさです。そして、少しだけ首をかしげて見た瞬間、そのシミがハート型だったのです。「このことだったんだ。」何だかうれしくなりました。
保育士として、子どもたちと園庭を駆け回り、笑ったり泣いたり…この長い年月が、私の頬に、このハート型のシミを作ってくれたのでしょう。その日から、鏡を見るたび『私のシミはハート型』とつぶやいてみます。
これまで歩んできた保育士としての道のりには、苦労も少なからずありました。しかしHちゃんの一言には、私自身の気持ちを変える力がありました。これまでの道のりをより受け入れ、現在をより良く受けとめようとする気持ちです。
何気ないこどもの一言で、ほんの一瞬のやりとりで、自分の心が救われる。
保育園ってこんなことが何度もある職場ですよね。
確かに『しんどいなあ』と、思うこともありますが、こどもたちの笑顔は「プライスレス」、何物にも代えがたいものです。そして保育者の笑顔は、こどもたちや保護者の方にとって日々の支えとなります。保護者にとっても、笑顔があふれる場所は、心の居場所となることでしょう。