コラム

Aちゃんとの出会い

 Aちゃんは、様々な形のブロックで乗り物を作るのが得意な5歳の園児さんです。よくブロックで作った乗り物の説明をしてくれます。 園庭遊びの時間になりました。園庭の一番端、金網の扉で区切られた奥には、遊具をしまうエリアがあります。外遊びで、多くの遊具が出して使われており、金網の扉で区切られた収納エリアには、空いたスペースが出来ました。Aちゃんは、何を思ったのか金網扉の向こう側、収納エリア内に一人で入って遊んでいます。かたづけタイムになりました。遊具が収納エリア内に次々と戻ってきます。園庭側から一人のお友達が、金網扉の向こう側にいるAちゃんに「もう出てこないと」と声をかけました。ところがAちゃんからは「出れない」という言葉が返ってきました。戻ってきた遊具に囲まれて、出るに出られないというのです。しかし、私からみると、身体を斜めに傾けて進み、その後、横に向いてカニ歩きすればよい、あるいは、よつばい姿勢で別方向から進んでも、なんとかなりそうです。お友達もAちゃんへ「ここから出たらいいのに」と伝えます。しかしAちゃんは、まっすぐ立ったまま「出れない」の一点張りでした。そして園庭側から先生に金網扉を開けてもらうと、まっすぐ歩いて出ました。

 その場に居合わせた私は、①Aちゃんは、自分の身体への気づきが乏しい、つまり、自分の身体がどのような姿勢や動きが出来ることをよく知らないのかもしれない。②自分の身体と周りの環境との物理的、空間的な関係や状況を認識するのが難しいのかもしれない。と感じました。(つづく)