どのような出来事からも学びはみつかる③

(続き)前々回、前回とコラムに、若い時のお粗末な、拙いやりとりを、恥ずかしながら敢えて載せようと思ったのには、次のような理由があります。

 一つめは、職員間でのミーティングです。情報共有と合意形成を目的とする場が確保されており、他のスタッフから、様々な感想やコメントをいただけたことが、若い時分には、随分支えられる体験になった、という事を伝えたいのです。

 二つめは、子どもたちの姿をどのような視点で捉えるか、その大切さです。視点が変わると、子ども達と自分との一連の関わりに対する認識が、大きく異なってくる事もお伝えしたいと思います。

 自分たちの視点をより広く、また深いものにする有益な方法として思いつくことは、まず研修をコンスタントに受けることです。実践だけでは、大切な事を見落としてしまう危険性がより高くなります。研修会で聞いた話が、後日、ほんの一部でも構わないので、現場で働いている最中に「もしかして、こういうことか。」と頭に浮かべば、しめたものです。

 2つめの方法は、ミーティング、とまでいかなくても、安心できる他の職員など、誰かとエピソードを話し、共有するということです。 

「今日の保育、全然上手くいっていなかった」「なんだかスムーズだったけど、どういうことかなぁ」「ひたすら忙しかった」など、毎日伝え合うことは、沢山あると思います。

 伝え合うことで、①心の中にある、不要な負担が軽くなる。②別の視点、複数の視点から見直すことができる。③対応のヒントがみつかることがある、といった効果が期待できます。

 なかなかミーティングを設けること自体が難しい保育の現場でしょうが、かしこまらない、何気ない時間をみつけて、ほんの僅かでも、それぞれの体験と思いを伝え合い、共有していきたいですね。

広島グリーンアリーナにて、保育士就職応援セミナーが開催されます

こんにちは。


来る11月14日(火)13:30~15:30


広島グリーンアリーナにて、
【保育士就職応援セミナー】が開催されます。

【内容】
〇現役保育士による復職体験談等
〇個別相談

 ・認定こども園 永照幼稚園〈学校法人 永照寺学園〉

 ・認定こども園 広島光明学園〈社会福祉法人うすい会 広島光明学園〉

 ・サンヒルズ保育園〈社会福祉法人 広島常光福祉会〉

 ・広島市私立保育協会

 保育士として働きたい皆さま。
転職や復職の経験を経て、今活躍されている現役の
保育士さんのお話を聞いてみませんか?
今の保育や、保育施設の受け入れ態勢の実際について、
直にお話が聞ける機会となっています。

「ブランクがあるけど大丈夫かな?」
「保育士資格があるけど未経験だし…」
など迷っておられる皆さまも、ぜひご参加ください!

 個別相談の時間には、参加保育施設と当協会が相談ブースを設けております。

参加保育施設のブースでは、実際に保育施設で働かれている方へ直接質問などをして頂けます。
当協会のブースでは、保育経験者による個別相談のブースと、就職に向けての具体的な施設を探す相談ブースがありますので、復職・求職のお悩みなどどんなことでもご相談ください。

お問い合わせ・お申し込みは、
添付のチラシをご参照の上、ハローワーク広島東
ひろしま人材確保支援コーナー TEL082-262-8300
までお電話ください。(要予約)

皆さまのご参加お待ちしております。

どのような出来事からも、学びはみつかる②

(続き)学習時間が終わり、私は徒労感に襲われました。「指導力のない私は、子どもに学習させる事が全然出来なかった。完全に失敗に終わった。」と思いました。まったくダメダメな話だと思いました。

 ただ、思い返してみると、不思議な点がありました。それは、「自主学習が嫌だ」という思いだけによる行動でしたら、子ども達は同時に教室から姿を消して構わないはずです。むしろ、その方が効果的です。ところが必ず、①一人ずつ順に部屋外に出る。②迎えに行くと、ひとしきり「いやだー」と言ってみるものの、案外笑みを浮かべながら、教室に戻る。③教室にいる他児は、静かに、そして何となく嬉しそうに、一連のやりとりをずっと見ている。という点でした。

はてな?と思った私は、思い切って、職員ミーティングでありのままを報告しました。

すると、うなづきながら聞いておられた先輩の職員が口を開いて下さいました。この先輩は、D子ちゃんの担当の職員です。実はD子ちゃんの方から担当の先生である先輩へ、このエピソードを嬉しそうに話してきたのだそうです。先輩は、「誰がいなくなっても、迎えに行き戻ってくる」「同じ対応を一貫して続ける」ことが、D子ちゃんの安心感を高めるのに、ちょうど良かったみたい、と感じたのだそうです。

私は、先輩からの思いがけないコメントを聞き、びっくりし、新たな視点をいただくと同時に、大きく励まされました。(③に続く)

どのような出来事からも、学びはみつかる①

20代半ばの頃、児童心理治療施設で勤務していたことがあります。主に中学生のお子さんの生活場面で仕事をしていた時のエピソードです。

そこでは当時、少人数での自習時間があり、そのうちの1班を受け持っていました。班のメンバーには、不登校経験のあるお子さんが複数人いました。どのお子さんも、入所して数か月以上経っており、施設での生活に慣れてきた頃でした。自習時間ですが、私に軽口等を言うなど、比較的ゆったりとした雰囲気の中で、それぞれのペースで学習中心に過ごしていました。

ある日のことです。前半の学習時間が終了し、10分間の休憩があった後のことです。1人だけ、教室に戻ってこないお子さんがいました。「あれ、A君はどこにいるんだろう。」と私が言いますと、B君、C君、D子ちゃん達が、「まだ、居室にいるんだと思うよ」と教えてくれました。A君の居室に行ってみました。するとA君は自分の部屋で、ごろんと身体を横たえています。「後半の学習時間が始まったよ。」「えーっ、たいぎいよー。」「まあまあ、そう言わずに。一緒に戻ろう。」「えーっ」と、やりとりをしながら、一緒に教室に戻り、A君は自分の席に着きます。ひと段落し、室内を見回すと、今度はB君が姿を消しています。「さっきまで教室にいたけど、B君はどこだろう。」私の問いかけに、C君やD子ちゃんが、「たぶんB君の居室だよ。」と返事をします。私はB君の部屋に迎えに行きました。B君も「いいじゃん、別に部屋で寝とっても。」と、ニヤニヤしながら言います。私が「いやいや、一緒に勉強しようや。」と促すと、B君はゆっくり立ち上げり、私と一緒に教室に戻っていきました。私は、B君の着席を見届けつつも、教室からD子ちゃんの姿が見えなくなっていることに気づきました。「あれ!?」 他の3人の児童は、何も言わずに背中を小さく揺らして笑っています。「D子ちゃんも居室に行ったんかね、どうしたんかね。」と言いながら、私は女子の居室までD子ちゃんを迎えに行きます。迎えに行くとD子ちゃんは、口では「えー」と言いながらも、ニコニコ笑い、私が来るのを待っていた様子です。D子ちゃんと教室に戻ってきました。すると、今度も一人だけ教室から居なくなっていた子がいました。それは誰でしょう…!?皆さんには既にお分かりでしょう、C君です。

 教室に戻る度に、私は「今度は○○君がいない」と言いながら、また迎えに立ち去っていきます。その様子を、他児たちは黙ったまま、しかし視線はしっかりと、こちらを捉えながら座って過ごしています。

 後半の学習時間中、この繰り返しが延々と続きました。内心「いつになったら、このやりとりは終了するのだろう。」と思いながら、一人ずつ児童を居室へ迎えに行き、教室へ戻ることを続けました。(続く)

第42回全国私立保育連盟青年会議広島大会

令和5年11月1日、2日の2日間で、第42回公益社団法人全国私立保育連盟青年会議広島大会を開催いたしました。広島国際会議場およびJMS アステールプラザには、全国から500名を超える保育者たちが集いました。

今大会のテーマは「こどもたちと平和な未来を 〜そりゃあ 平和が一番じゃろお」

2日間を通して多くのプログラムが行われました。

1日目は、フリーアナウンサー、バーゲル・ルミさんによるい平和についての絵本の朗読、被爆ピアノの演奏会、平和公園での碑めぐりフィールドワーク、様々な分科会をおこないました。

2日目には、小倉桂子さんによる被爆体験講話、為末大さんによる記念講演に参加者の皆さまは耳を傾けておられました。

この大会を通して、あらためて核兵器廃絶と恒久平和の重要性を胸に刻む機会をいただきました。多くのボランティアスタッフにも支えられ、広島市内外の保育者同士の連帯を確かめ合うまたとない機会となりました。大会に関わってくださった多くの先生方、本当にありがとうございました。

広島大会の記事も載っている私保協だよりはコチラ
▷ 私保協だより69号

ハローワーク可部就職応援セミナー開催

9月8日(金)にハローワーク可部にて保育士就職応援セミナーが行われました。 開催にあたり、司会の渡部理事(清水谷保育園)より、現在の保育園を取り巻く現状をお話頂きました。

ナビゲーターとしてご参加頂いた、復職経験のある現役保育士2名(SunSun保育園、みいりナーモ保育園)から、ご自身の体験をお話し頂きました。渡部理事、坂本理事(ともえ保育園)との対談の中で、転職・復職にあたり、ご自身の思いや悩み、希望などのお話を通じて、参加者の方に寄り添い、勇気づけとなるお話をして頂きました。

セミナーへの参加者は6名で、セミナー終了後は、当協会相談員による個別相談や人材バンクによる求職相談を行い、併せて3名のご参加がありました。

参加者の皆さんも熱心に聞いておられました。

お子様と一緒に参加された方もおられ、参加者の皆さんも熱心に聞いておられました。

ありがとうございました。

身体づくりは自分づくり②

 その後研修で、ボディイメージ(身体図式)や運動企画力を育むことの大切さについて学ぶ機会がありました。

 ボディイメージや運動企画力には、前庭覚(平衡感覚)や、固有覚(力の入れ加減)、触覚といった感覚の統合が関係するそうです。お子さん自身が能動的に、その感覚を働かせていく事がとても大事なのだそうです。

 具体的には、普段あまりしない不慣れな動きを、あえて行うことで、自分の身体の位置や動きを意識しながら活動(運動)するのがよいそうです.。遊びの例としては、紙テープを、くもの巣のように不規則に張り巡らした空間を通り抜ける、狭いトンネルをくぐり通る、ジャングルジム等々があるそうです。

 一番のポイントは、これらの活動が受け身でないことと、させられ体験にならないことです。お子さんが、「楽しそう、またやってみよう」と思う遊びを沢山することです。「肘や腕をこのぐらい曲げると、遊具に触れるぞ」「頭やお腹をもっと丸めてみようか」「ちょっと手足を伸ばしてみようか」「指先に届いたぞ。もうすぐ手で握れる」などと、お子さん自身が感じ(考え)ながら、試行錯誤して行っていくのがよいそうです。

 熟年者の私でも、スマホやパソコン画面の前で、長時間同じ姿勢で過ごす生活が増え、特定の身体部位や、視覚など偏った感覚ばかりを使うことが、当たり前の生活になりました。日々の生活の中で、自然に遊びを満喫できた時代ではなくなり、外遊びは、ままならなくなっています。せめて、保育施設で過ごすことの出来るお子さんには、「いま、この場だから出来る」さまざまな活動を経験してほしいと願っています。

Aちゃんとの出会い

 Aちゃんは、様々な形のブロックで乗り物を作るのが得意な5歳の園児さんです。よくブロックで作った乗り物の説明をしてくれます。 園庭遊びの時間になりました。園庭の一番端、金網の扉で区切られた奥には、遊具をしまうエリアがあります。外遊びで、多くの遊具が出して使われており、金網の扉で区切られた収納エリアには、空いたスペースが出来ました。Aちゃんは、何を思ったのか金網扉の向こう側、収納エリア内に一人で入って遊んでいます。かたづけタイムになりました。遊具が収納エリア内に次々と戻ってきます。園庭側から一人のお友達が、金網扉の向こう側にいるAちゃんに「もう出てこないと」と声をかけました。ところがAちゃんからは「出れない」という言葉が返ってきました。戻ってきた遊具に囲まれて、出るに出られないというのです。しかし、私からみると、身体を斜めに傾けて進み、その後、横に向いてカニ歩きすればよい、あるいは、よつばい姿勢で別方向から進んでも、なんとかなりそうです。お友達もAちゃんへ「ここから出たらいいのに」と伝えます。しかしAちゃんは、まっすぐ立ったまま「出れない」の一点張りでした。そして園庭側から先生に金網扉を開けてもらうと、まっすぐ歩いて出ました。

 その場に居合わせた私は、①Aちゃんは、自分の身体への気づきが乏しい、つまり、自分の身体がどのような姿勢や動きが出来ることをよく知らないのかもしれない。②自分の身体と周りの環境との物理的、空間的な関係や状況を認識するのが難しいのかもしれない。と感じました。(つづく)

身体づくりは自分づくり①

 先日、こどもたちに遊びながら身体づくりをしてほしいというイベントが広島グリーンアリーナで開催され、大勢の親子が参加されたというニュースをみました。4年ぶりの開催だったそうです。巨大段ボール迷路や、マットで作った滑り台、トランポリンなどを心底楽しむお子さんの姿を拝見しました。

 健やかに育っていく過程で、幼い年齢であればあるほど、遊びを通じた身体的な活動は欠かせませんし、お子さんにとってポジティブな体験であることが大事です。これらの体験が積み重なってはじめて、自分や自分を取りまく世界が好きになっていくのでしょう。 

 半世紀前の私の子ども時代と比べ、身体を動かし自由に遊ぶ時間が、とても少なくなっていることを痛感します。身体運動への大した知識はなくても、「さまざまな身体感覚を用いた活動を、子ども時代に存分に味わってほしい」という気持ちは、年々強くなるばかりです。Aちゃんに出会ったことも、きっかけの1つです。(つづく)